立法の不作為について知ろう

国会がある法律をつくるのを怠っているときにそれが訴訟で違憲として問題となることはあるのでしょうか。立法は政治的な要素があるうえ国会には民主的基盤もあるので立法はその裁量に任せるべきであるとも思われます。これについては、①立法をしない立法の不作為が違憲となることはあるのか、あるとすればどういう場合かと、②違憲となってもそれが司法の違憲審査の対象になるのか、なるとすればどのような形で争われるのかという問題の2つを分けて論じるのが一般です。
前者については、いつどのような内容の立法をするかは原則として国会の裁量となるけれども、憲法の明文あるいは解釈上立法すべきことが義務づけられているときには立法不作為は違憲となると考えられます。ただ、立法はさまざまな状況下で行なわれるものであるし、立法すべきことがどの程度明確といえるか、ということもあります。そこで、国会が立法の必要性を十分認識し、立法しようと思えばできたにもかかわらず、合理的期間を経てもなお放置しているというような状況があれば、立法不作為は違憲となると考えられます。
後者については、個人の重要な基本的人権が立法不作為によって実際に侵害されていることが明確な場合には、争い方によっては司法審査の対象となるとされています。その争い方としては、従来立法不作為の違憲確認訴訟を中心に議論されましたが、その判決のあり方によっては立法権の侵害とならないか、という問題もあります。そのほか、通常の行政事件訴訟などにおいて不備ある立法にもとづく措置を違憲と判断することを求める方法、あるいは国家賠償請求訴訟で立法不作為の違憲を争う方法がありえます。

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