司法裁判所型違憲審査制について考える

法律、命令、処分などが憲法に違反しているかどうか審査する違憲審査を、国のどの機関が行なうかは、国や時代によって異なります。フランス第四共和政憲法では憲法委員会という政治機関が審査をするものでした。しかし、多くの国ではこのような政治機関でなく、裁判所が違憲審査をしています。
裁判所の違憲審査にも、特別に設けられた憲法裁判所が違憲審査をする「憲法裁判所型違憲審査制」と通常の裁判所が審査をする「司法裁判所型違憲審査制」があります。前者はヨーロッパの諸国でとられるもので、特別な憲法裁判所が具体的な事件と関係なく違憲審査を行ないます。これを「抽象的違憲審査制」といいます。後者はアメリカ合衆国などのとるもので、そこでは通常の裁判所が具体的な事件を裁判する際に、その解決に必要な限度で、違憲審査を行ないます。これを「付随的違憲審査制」といいます。その背景には権力分立制の下でも、ヨーロッパでは専制君主とその下で権力をもっていた裁判所に対する抗争を経て近代立憲主義国家となったという経緯から立法権を優位に考えるのに対し、アメリカ合衆国ではイギリス議会の法律や州法に対抗してきた経緯から立法権不信のもと三権を同等に考えるということがあります。
日本は憲法81条から司法裁判所型違憲審査制をとっていることがわかりますが、付随的違憲審査のほか、抽象的な違憲審査をすることも可能であるかどうかの議論はあります。81条は「司法」の章に定められており、司法とはそもそも具体的な事件を前提としてそれを解決するものであるということから、抽象的違憲審査は認められないと考えるのが一般です。

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